更新 2026.10.18 / BODY SHOP JACK
結論:アルミボディ・アルミボンネットの車も、板金で直せる傷は多くあります。ただし、アルミは鉄と性質が違うため、叩き方・熱の加え方・つなぎ方・道具を変えて直します。
浅い凹みや傷は板金と塗装、折れや裂けがあるときはパネルの交換になりやすい。「アルミなので交換です」と言われたら、理由を聞いて見積もりを並べてください。
どのパネルがアルミか分からなくても構いません。車種と年式を添えて、LINEでご来店のご予約をください。
この記事の目次
アルミボディ・アルミボンネットの車とは?
アルミボディ・アルミボンネットの車とは、ボンネットやドア、フェンダー、トランクやバックドアの外側の板に、鉄(鋼板)ではなくアルミの板を使っている車のことです。車のボディの多くは鉄の板でできていて、その一部をアルミに替えています。
アルミを使う理由は、軽くするためです。アルミは、同じ大きさの鉄よりずっと軽い金属です。車の前の方や高い所にある大きな板を軽くすると、走りや燃費に効くため、ボンネットから使われ始め、ドアやトランクにも広がってきました。
ただし、車1台がまるごとアルミでできている車は、一部の高級車やスポーツカーに限られます。多いのは、ボンネットなど一部のパネルだけがアルミで、ほかは鉄、バンパーは樹脂、という組み合わせです。輸入車に多い印象がありますが、国産車にもボンネットなどにアルミを使う車があります。同じ車種でも、年式やグレードで材料が変わることがあります。
| 材料 | 使われやすい所 | 直し方の違い |
|---|---|---|
| 鉄(鋼板) | ボディの大部分・骨格 | 叩いて戻す・引き出す・溶接する、といった板金のふつうのやり方で直す |
| アルミ | ボンネット・フェンダー・ドア・トランクやバックドアの外板 | 叩き方・熱の加え方・つなぎ方を変え、道具と作業場所を鉄と分ける |
| 樹脂 | バンパー・一部のフェンダーやバックドア | 熱で形を整える・割れは交換になることが多い(バンパーの傷) |
自分の車がアルミかどうか、どう見分ける?
磁石を当てて付かなければ、アルミか樹脂です。修理の相談の前に、ぶつけた所が本当にアルミなのかを知っておくと、話が早く進みます。見分け方は次の3つです。
- 磁石を当てる:鉄には磁石が付き、アルミには付きません。塗装の上からでも分かります。塗装に傷を付けないよう、薄い布を1枚はさんでください。
- 硬さで樹脂と分ける:磁石が付かない所は、アルミか樹脂です。ボンネットやドアのように硬い金属の板ならアルミ、バンパーのように軽く押すとたわむ物は樹脂のことが多いです。
- 車の資料で確かめる:確実なのは、カタログやメーカーの車種のページ、取扱説明書です。分からないときは、車検証に載っている車台番号(型式)を販売店やメーカーの窓口に伝えると調べてもらえます。
磁石だけで決めつけないでください。アルミの板の裏に鉄の補強が入っている所では磁石が反応することがあり、塗装の厚い所では付きが弱くなることもあります。迷ったら、ご来店のときに確かめます。
アルミはなぜ鉄と同じように板金できない?
アルミは鉄より伸びた所が戻りにくく、熱の加減が分かりにくく、つなぎ方が違い、鉄の粉が付くと腐食するためです。「アルミは板金できない」と書かれていることがありますが、正しくは「鉄と同じやり方では直しにくい」です。違うのは次の4つです。
- 伸びた所が戻りにくい:鉄には粘りがあり、凹みを起こしたり叩いたりすると、伸びた所を締めて元の面に追い込めます。アルミは叩いた所が伸びたままになりやすく、力のかけ方を誤ると、面が波打ったり、縁や折り目の近くが割れたりします。
- 熱の加減が分かりにくい:板金では、熱を加えて金属を動かしやすくすることがあります。アルミは熱がすぐ周りへ逃げ、溶ける温度も鉄よりずっと低く、溶ける手前まで色がほとんど変わりません。温め過ぎると穴が開くため、温度を見ながら少しずつ進める必要があります。
- つなぎ方が違う:凹みを表から引き出すときに使う溶接も、アルミ用の機械が要ります。パネルの合わせ目には、鉄の溶接と違い、リベットや接着でつないでいる車もあります。
- 鉄の粉が付くと腐食する:違う種類の金属が触れたまま水分が入ると、片方が先に傷みます。アルミと鉄は、この傷みが起きやすい組み合わせです。鉄を削った粉がアルミの面に残ったまま塗ると、そこから腐食が進み、塗装が押し上げられて膨れます。このため、アルミを直すときは、道具と作業場所を鉄と分ける必要があります。
どれも、作業の工程が増える理由です。同じ大きさの凹みでも、アルミのパネルは鉄より時間がかかり、修理代も上がりやすくなります。
アルミのパネルは、どうやって板金で直す?
塗装をはがし、アルミ用の道具で少しずつ形を戻し、アルミに合う下地をつくってから塗ります。一般的な流れは次のとおりで、車の状態によって順番や中身は変わります。
- 材料と傷みを確かめる:パネルがアルミか、裏側に手が届くか、折れや裂けが無いかを見て、板金で直すか交換かを決めます。
- 塗装をはがす:凹みの周りの塗装を落とします。鉄用の研磨の道具は使いません。
- 形を戻す:裏から手が届く所は、アルミ用の道具で少しずつ起こします。届かない所は、アルミ用の溶接機で表に引き出すための金具を付け、温度を見ながら引き出します。
- 面を整える:引き出した金具を外し、わずかに残ったゆがみを整えます。
- 下地をつくる:アルミに合う下塗りをして、塗装がはがれにくく、腐食が起きにくい下地にします。
- 色を作って塗る:車の色に合わせて調色し、パネルを基本に塗ります。最後に透明な膜(クリア)を重ね、周りのつやとそろえます。
アルミのパネルは、板金で直す?交換する?
浅い凹みは板金で直し、折れ目・裂け・深い凹みは交換になりやすい、というのが分かれ目です。凹みの深さと場所で決まります。
| 傷みの様子 | なりやすい直し方 |
|---|---|
| 浅い凹み・面の真ん中・折り目(プレスライン)にかかっていない | 板金で戻して塗装 |
| 塗装だけの擦り傷(凹みなし) | 塗装(板金は要らない) |
| 深い凹み・折れ目が付いた・縁が曲がった | 交換になりやすい |
| 裂けた・穴が開いた | 交換 |
| パネルの奥の骨格まで曲がった | パネルの交換に加えて、骨格の修正 |
交換になるときは、部品代が修理代の多くを占めます。輸入車は、部品を海外から取り寄せることがあり、届くまでの日数もかかります(外車・輸入車の板金塗装)。
ボンネット・フェンダー・ドアのように、ボルトで留めてある部品を交換しても、中古車の査定でいう「修復歴」にはなりません。修復歴になるのは、骨格を傷めて直した場合です。
アルミのパネルの修理代は、なぜ上がりやすい?
工程が増えること、アルミ用の道具と作業場所が要ること、交換のときは部品代がかかることが重なるためです。
- 工程が増える:少しずつ戻す・温度を見ながら進める・アルミに合う下地をつくる、と、同じ大きさの凹みでも作業の時間が延びます。
- 道具と作業場所を分ける:アルミ用の溶接機や叩く道具、鉄の粉が混ざらない作業場所が要ります。
- 交換になると部品代がかかる:アルミのパネルは鉄のパネルより部品代が高くなりやすく、輸入車は取り寄せの費用もかかります。
修理代は、凹みの大きさ・場所・深さ、板金か交換か、塗る範囲で大きく変わります。見積書を受け取ったら、次の3つを見ると、金額の理由が分かります。
- 板金か交換か:交換なら、なぜ板金で直せないのか(折れ・裂け・深さ)
- 部品の種類:交換するとき、新品の純正部品か、ほかの部品か
- 塗る範囲:パネル1枚か、隣のパネルまでぼかして塗るか
金額の決まり方は、料金の考え方のページにもまとめています。
「アルミなので直せない」と言われたら、どうする?
まず「板金で直せない理由」を聞いてください。アルミのパネルの修理を断られたり、すぐに交換をすすめられたりする理由は、大きく2つです。
- その工場に、アルミ用の道具や作業場所が無い:鉄と同じ道具で直すと、腐食や割れが起きるおそれがあるため、交換の見積もりだけを出す工場があります。
- 傷みが板金で戻せる範囲を超えている:折れ・裂け・深い凹みは、どの工場でも交換になりやすい傷みです。
どちらの理由かで、次にやることが変わります。
- 交換と言われたら、「板金で直せない理由」を聞いてください。
- 理由が「設備が無い」なら、アルミのパネルを直せる工場で見積もりを取り、並べて決められます。
- 理由が「傷みが大きい」なら、交換の見積もりの中身(部品の種類・塗る範囲)を比べます。
ディーラーで交換と言われた場合も、修理先はお客様が選べます。ディーラーと板金塗装の工場の違いは、ディーラーと板金塗装の工場の違いの記事をご覧ください。
アルミボンネットの凹みや傷は、どう直す?
凹みが浅ければ板金で戻して塗り、塗装だけの傷は塗装で、折れ目が付いたものは交換で直します。アルミのパネルの相談で多いのがボンネットで、前を走る車の跳ねた石、上から物が落ちた、駐車場の柱や壁に当てた、などでできた凹みや傷です。
- 塗装が欠けただけの小さな傷:凹みが無ければ、塗装で直します。地肌(アルミ)が見えているなら、早めに直してください(下の「放っておくと」)。
- 小さな凹み:ボンネットは裏に骨組みがあり、裏から手が届かない所があります。その場合は表から引き出して直します。
- 折れ目が付いた・前の縁が曲がった:交換になりやすい傷みです。ボンネットの中の部品やライトまで傷んでいないかも、併せて確かめる必要があります。
ボンネットは面が大きく、光が映り込むため、わずかな波打ちも目立ちます。直したあとの仕上がりは、斜めから光を当てて確かめます。
アルミの傷を放っておくと、どうなる?
塗装がはがれてアルミの地肌が出た所から、白い粉のような腐食が出て、塗装の下に広がります。アルミは鉄のような赤いサビは出ませんが、「錆びない」わけではありません。雨や融雪剤の塩分が付くと腐食が進みます。
- 塗装の下で広がる:腐食は塗装の下にもぐり込み、塗装が細かく膨れたり、はがれたりします。
- 気づきにくい:鉄の赤いサビと違って目立たないため、気づいたときには広がっていることがあります。
- 直す範囲が広がる:腐食が広がると、削って下地から作り直す範囲が広がり、修理代が上がります。
地肌が見える傷は、見た目が小さくても、早めにご相談ください。鉄のパネルのサビについては、車のサビ修理の記事にまとめています。
アルミの傷や凹みを、自分で直してもいい?
ご自分で直さないでください。鉄の粉や合わない材料が腐食の原因になり、凹みも広がりやすいためです。理由は次のとおりです。
- 鉄のやすりやワイヤーブラシでこする:鉄の粉がアルミの面に残り、そこから腐食が始まります。
- 市販のパテで埋める・スプレーで塗る:アルミに合わない材料だと、境目から腐食やはがれが出ます。修理のときは、その材料を落としてから直すため、作業が増えて修理代が上がります。
- 裏から押し出す・吸盤で引っぱる:アルミは伸びると戻りにくく、凹みが広がったり面が波打ったりします。
触らずに、そのままの状態でお持ちください。傷の様子が分かりやすく、直し方を決めやすくなります。
アルミのパネルの修理にも、保険は使える?
使えます。アルミのパネルでも、保険を使う修理の流れは鉄のパネルと同じです。
- 保険会社へ事故の連絡をします。修理先を聞かれたら、修理を頼む工場の名前を伝えます。
- LINEで当店にご来店のご予約をください。
- 入庫して見積もりをし、修理の内容と金額を、修理工場と保険会社で決めます(協定)。
- 修理して、納車します。
アルミのパネルは修理代が上がりやすいため、保険を使うか自費で直すかで迷う方がいます。保険を使うと翌年からの保険料が変わります。修理の金額を見てから、ご契約の保険会社に確かめて決めてください。くわしくは保険を使う修理のページをご覧ください。
アルミのパネルの修理先は、何で選ぶ?
アルミのパネルの修理を受けているか、板金と交換の両方を説明してくれるかで選んでください。確かめたいのは次の4つです。
- アルミのパネルの修理を受けているか:受けていない工場では、交換の見積もりだけになることがあります。
- 板金と交換、両方の説明があるか:交換なら、板金で直せない理由を説明してくれるか。
- 鉄と道具を分けているか:腐食を防ぐための扱いを、聞けば答えてくれるか。
- 塗装まで自社で行うか:アルミの下地づくりから色合わせまで、同じ工場で行うか。
当店は、板金・塗装・調色をすべて自社の工場で行います。色は、隣のパネルとの見え方が合うように調色します。
ご予約のときに、車種・年式と、ぶつけた所(磁石が付くかどうかが分かれば、それも)をお知らせください。ほかの工場で断られた場合は、その理由もお聞かせください。